NGC 4438, NGC 4435(銀河)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, フィルターなし, Sony α7s (新改造), ISO12800, 30s x 30=15m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2022/05/02, 22h 22m, +5.4℃, 東御市 / 観測所, 視野角: 52′ x 35′ ↑ N
NGC 4438, NGC 4435と近傍の銀河 視野角: 77′ x 51′ ↑ N
NGC 4438(銀河)明るさ:11.02 mag, 大きさ:8.5′ x 3.2′, 分類:SA(s)0/a pec: LINER , z 0.000237, 推定距離:約1,800万光年, 11.613Mpc(非赤方偏移)(NED), RA 12h27m45.5938s, DEC +13d00m31.775s (J2000.0), 視野角: 19′ x 13′ ↑ N
NGC 4435(銀河)明るさ:11.8g mag, 大きさ:2.4′ x 1.4′, 分類:SB(s)0^0^;LINERHII , z 0.002638, 推定距離:約5,000万光年, 16.757Mpc(非赤方偏移)(NED), LGG 292, RA 12h27m40.487s, DEC +13d04m44.20s(J2000.0)
NGC 4438は、おとめ座銀河団の中心付近にあり、極めて複雑に乱れた形状の潮汐錯乱銀河です。この錯乱の原因は、見かけ上接近した位置にあるNGC 4435との相互作用がすぐに疑われます。力学的モデルではNGC 4438 はレンズ状銀河の伴銀河? NGC 4435 との高速 (約 800 km s-1) 相互作用によって擾乱されていると考えられていました (Vollmer et al. 2005など)。しかし、2つの銀河の赤方偏移値は大きく異なること、NGC 4435には相互作用による顕著な乱れが見えないことなどから、すんなりとは受け入れがたい部分がありました。
Kenney, Jeffrey D. P. 他( 2008ApJ)は、M86付近をHα+NIIで撮像し、NGC 4438とM86を結ぶ複雑なHαのフィラメント構造を発見しました。また、分光観測により、M86とNGC 4438の間には、衝突のシナリオと一致する、非常に滑らかな速度勾配があることも発見しました。彼らは、これらのことからNGC 4438の錯乱の原因は、かつてM86と衝突したことによる。このような衝突は、M86の星間物質に大きなエネルギーを与え、おそらくガスを加熱し、ガスが冷えて星ができるのを妨げるように作用します。衝突の際にNGC 4438から剥がれ落ちた冷たいガスが、衝撃、ラム圧抵抗、熱伝導によって加熱され、Hαフィラメントの大部分を作り出しているのだろう。としました。
A Spectacular Hα Complex in Virgo: Evidence for a Collision between M86 and NGC 4438 and Implications for the Collisional ISM Heating of Ellipticals. Kenney, Jeffrey D. P. 他 2008ApJ…687L..69K より転載
論文中のM86とNGC 4438を結ぶHαフィラメントの見事な画像を転載します。NGC 4438の錯乱の原因は、M86との衝突であろうことが大方理解できました。しかし、まだ若干疑問が残ります。NGC 4438が衝突で合体することなく存在していること、どのような衝突だったのでしょう? NGC 4435は、赤方偏移が示すように遠方にある関連の薄い銀河なのでしょうか?
M 86, M 84と周辺の主な銀河
タカハシFSQ85ED(320mm f3.8), Pentax K-70(改造)、HEUIB-II, ISO3200, 90s x 8 = 12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, 22h48m, -3℃, 東御市・観測所
視野角:4.2° x 2.8° ↑N(広角カメラ)
かみのけ座、おとめ座、おとめ座銀河団中心付近 ファインディングチャート
Tamron SP 70-200mm(85mm f4), Pentax K5IIS(ノーマル), ISO3200, 90s x 8=12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, -3℃, 東御市・観測所, 16° x 11°↑N