vdB 65(反射星雲)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s(新改造), ISO12800, 30s x 59=30分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2022/02/01 00h29m, -05℃, 東御市・観測所, 視野角: 77′ x 51′ ↑N
vdB 65(反射星雲)周辺
タカハシFSQ85ED(320mm f3.8), Pentax K-70(改造)、HEUIB-II, ISO3200, 120s x 16=32分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2022/02/01 00h29m, -05℃, 東御市・観測所, 視野角:4.2° x 2.8° ↑N(広角カメラ)
vdB 65は、ぎょしゃ座の南西側、ふたご座境界に近い位置にある反射星雲です。同じ視野の南側に見えている赤い星雲は、Sh 2-241のHII領域です。SimbadでvdB 65を検索すると、= BD+30 1096 10.4magの恒星となっていますがSimbadが指し示す位置には星はありません。おそらく恒星BD+30 1096はTYC 2419-1158-1であろうと思われます。この恒星の周りにある、反射星雲はLBN 823として登録されていますが、Simbadでは、= vdB 65とはしていません。ややこしい・・・
vdB 65は、暗黒星雲TGU H1278 P1を背景としています。おそらく大きいが不明瞭なTGU H1278分子雲の一部が恒星TYC 2419-1158-1(スペクトル型不明)によって照らされて形成されているのでしょう。vdB 65の南には、赤い電離星雲Sh 2-241が見えていますが、この星雲はvdB 65とは無関係だとされています。
この星雲の励起星は、O9V星LS V +30 31です。この星雲は、5300 +/- 1100 パーセクにある分子雲の脇の水泡のようなものです。この領域には、1100 パーセクにある反射星雲 vdB 65 も含まれていますが、これは全く無関係の天体です(Vallee, J. P. 1987)。
2020年の年周視差カタログから推測される距離は、LS V +30 31 = 4,255pc(13,871光年)一方vdB 65(TYC 2419-1158-1) = 1,381pc (4,502光年)とされますから、確かに無関係な距離にあるように思えます。しかし、いくつかの疑問が生じます。LS V +30 31は、Sh 2-241の最も明るい北側円形部分(反射星雲GN 06.00.9、散開星団[FSR2007] 0839とされる)からは、かなり離れた淡い電離領域の中にあり北側円形部分の電離星は他に存在する、おそらく散開星団[FSR2007] 0839ではないか?。TGU H1278がvdB 65と関連するものなら、1,000pcほどの距離にあり、遠方にあるSh 2-241が明瞭に見えているのは不自然ではないか?。
これらのことから、おそらくSh 2-241は、LS V +30 31を電離星とする遠方の淡い星雲と、散開星団[FSR2007] 0839か不可視の恒星によって電離している近い距離にある北側円形の明るい星雲という、2つの関連しない別個の電離領域なのかもしれません。残念ながら[FSR2007] 0839とそれを構成する星までの距離もスペクトルのデータもないので断定はできませんが。
ぎょしゃ座〜おうし座〜ふたご座境界 ファインディングチャート
Pentax PDA50-135mmf2.8(80mm f4.5), フィルターなし、Pentax K70(改造), ISO3200, 90s x 32, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2022/12/21, -6.0℃, 東御市・観測所 ↑N