Sh 2-182(反射星雲?・カシオペア座)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s (新改造), ISO12800, 30s x 59=30m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2021/10/04, 00h 10m, +14.0℃, 東御市 / 観測所, 視野角: 77 ′ x 51 ′ ↑ N
Sh 2-182(反射星雲?), 明るさ:- -mag, 大きさ: 2′, 分類: ?, RA 00h 40m 24.6s DEC +62d 51m 58s (J2000.0), 視野角: 12 ′ x 08 ′ ↑ N
矢印の先にある恒星は、 EM* GGA2 (IRAS 00470+6429)
Sh 2-182は、カシオペア座のOB7星群の領域にある小さな星雲です。当初は、場所柄と形状からごく小さなHII領域とされていたようですが、その後HII領域ではないとする観測結果が出てきました。
*Avedisovaは、Sh 2-182がB3 Ia超巨星HD 4694によって電離されていることを示唆しています。(galaxymap.org)
*これは、距離不明の反射星雲と思われる。Blitz et.al. 1982 が検出した CO は、この天体とは関係ない可能性がある。(Landecker 1992)
*Sh 2-182 は、赤外線天体 IRAS 00470+6429 という原始惑星状星雲と関連しているようです。(Russeil 2007)
Sh 2-182は、HII領域なのか、反射星雲なのか、はたまた原始惑星状星雲なのでしょうか?。星雲と最も関連が疑われる恒星EM* GGA2の周囲をAladin を使って異なる波長で見てみます。
左:PanSTARRS DR1 gバンド 右:IPHAS DR2 halpha
左:PanSTARRS DR1 iバンド 右:2MASS J(1.23μm)
可視光gバンドでは、その姿は非常に淡くあるのか無いのか?判別がつきません。Hαの画像を見るとその姿はまったく見えていません。つまりこの星雲はHαでは光っていないことがわかります。Hαを含まない赤から近赤外のiバンドでは、EM* GGA2の周囲から西側に星雲が広がっていることがわかります。近赤外線(1.23μm)では星雲は見えません。
この星雲は、Hα輝線では発光していないので、まずHII領域の可能性はなくなりました。OIII輝線を含むgバンドで暗くHα輝線もないことから惑星状星雲の可能性もほぼありません。(IRAS 00470+6429を原始惑星状星雲とする考えは、ほぼ否定されています。)残る結論としては可視光の赤で光る反射星雲ということになります。
赤い反射星雲?恒星の光を反射する反射星雲は、光を反射する星間塵が波長の短い光を選択的に反射するために一般的に青色をしています(空の色が青いのと同じ)。赤い反射星雲は考えにくいのですが恒星の光が星雲を透過しているとすればそれはありそうです。
このありそうにはない赤い反射星雲の問題に関連していそうなのが、EM* GGA2(IRAS 00470+6429)という恒星の存在です。IRAS 00470+6429は、強い輝線スペクトルと赤外線過剰を示す変光星で、EM* GGA2というFS CMa型の変光星です。
*FS CMa は、少なくとも1つのB型主系列星が塵に包まれて構成されている可能性が高い。これらの星は不規則な光度変化を長期間にわたって行い、光度変化も2等級程度ある。これらの星からの水素輝線は、通常のBe星よりもはるかに強く、またある種の禁制線もスペクトル中に存在するため、B[e]星に分類される。(英語版 Wikipedia より)
*FS CMaは、B[e]現象を示す低光度天体で、その進化は未だ謎に包まれています。これらの星は、起源不明の暖かい塵でできたコンパクトな円盤に囲まれています。(DE LA FUENTE D. 他 2015 A&A)
*FS CMa型星は、B[e]現象を持つ銀河系天体の一群である。強い輝線スペクトルと赤外線過剰を示すが、これは最近形成された周辺塵によるものと思われる。赤外スペクトルエネルギー分布の形状や、目に見える星雲がないことから、放射源の周囲に星間ダストがコンパクトに分布していることが示唆されます。(MIROSHNICHENKO A.S. 他 2009 ApJ)
FS CMa型の変光星EM* GGA2は、星間塵のスケールについてはわかりませんが、起源不明の星間塵に覆われていることは間違いないようです。MIROSHNICHENKOは、「目に見える星雲がない」としていますが、いや見えてるでしょ?とすれば、星間塵は大規模に放射源(EM* GGA2)の周囲に広がっており、Sh 2-182は、それらを透過散乱している光で見えていると考えられそうです。星間塵の起源としては、EM* GGA2が放出したものか、この領域の濃い周囲の分子雲の一部なのかが考えられますが今のところ不明です。
Sh 2-182 周辺
TS FSQ85ED(320mm f3.8), Pentax K-70 (改造), HEUIB-IIフィルター, ISO3200, 120s x 16= 32m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2021/10/04, 00h 10m, +14.0℃, 東御市 / 観測所, 視野角: 4.2° x 2.8°(広角カメラ), ↑N
Sh 2-182は、カシオペアOB7星群の領域の中にあり、周囲には年齢の若い高温の星を含む散開星団が多数存在しています。この領域にはシャープレスの番号がついた星雲以外にも、淡いHII領域が広角カメラの視野の中に広がっていることがわかります。これらのHII領域は、FinkbeinerのHαマップでも確認できますがHII領域としての名称はありません。
カシオペア座とCas OB 星群 ファインディングチャート
Pentax PDA50-135mmf2.8(60mm f4.5), Pentax K5IIS(ノーマル), フィルター無し, ISO3200, 90s x 16=24分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/10/19, +5.0℃, 東御市・観測所 ↑N
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