Sh 2-74(散光星雲・HII領域・わし座)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-IIフィルター, Sony α7s (新改造), ISO12800, 30s x 59=30m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2021/06/10, 01h 14m, +14.0℃, 東御市 / 観測所, 視野角: 77 ′ x 51 ′ ↑ N
Sh 2-74 周辺
TS FSQ85ED(320mm f3.8), Pentax K-70 (改造), HEUIB-IIフィルター, ISO3200, 120s x 16= 32m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2021/06/10, 01h 14m, +14.0℃, 東御市 / 観測所, 視野角: 4.2° x 2.8°(広角カメラ), ↑N
Sh 2-74(散光星雲), 明るさ:–, 大きさ: 3′, 分類: HII, RA 19h 08m 48.5s DEC +05d 36m 32s (J2000.0)
Sh 2-74は、わし座にあるシャープレスのカタログでは小さな(3′)散光星雲(HII領域)です。
Forbes, D. (1989). “Photometry and spectroscopy of stars in northern H II regions”, [1989A&AS…77..439F]によれば、電離星はO9V クラスの恒星 Sherwood 182であり、距離は2.1Kpc としています。Forbesは、論文の中で観測した電離星のファインディングチャート(10′x 10′)を添付しています。しかし、電離星とされるSherwood 182はいくら調べても引っかからず、添付されたファインディングチャートは、星雲付近に該当する星の並びが見つかりません。星雲周囲に12.9V magのO9スペクトル型の星もSimbadでは見つかりません。電離星とされる恒星はどの星なのか引き続き調査中です。ついでにLBNカタログではS74とされ、その位置は星雲の最も明るい部分を示していますが、シャープレスカタログのSh 2-74の位置は、少し東側の何もない暗黒星雲の上を示します。
SS 433 (高質量X線連星)SS 433はW 50と呼ばれる電波源=超新星残骸SNR 39.7-2.0の中心構造とされます。超新星爆発を起こしたW50の中心構造SS433は、光速の26%もの早さで双極ジェットを放出するX線連星です。この興味深い連星に関する研究は非常にたくさんありますので興味のある方は調べてみて下さい。
この星を中心とする超新星残骸は約120′x60′の大きさがあります。広角カメラのSS 433の東側、銀河と重なるように淡い赤いフィラメント構造が見えており、それはSS 433の超新星残骸の一部でしょう。W50とSh 2-74の関連について言及する研究もあるようですが、実際に近傍にあるのかどうかもはっきりしないので不明です。
PN A66 53(Abell 53・惑星状星雲), 明るさ:- – mag, 大きさ: 0.517′, 分類: PN, RA 19h 06m 45.910s DEC +06d 23m 52.47s (J2000.0), 視野角: 17′ x 11′ ↑ N
Abell 53は、広角カメラの視野上方に見えている惑星状星雲です。拡大すると小さなドーナツ状であることがわかります。
わし座、西部 ファインディングチャート
Pentax PDA50-135mmf2.8(60mm f4.5), Pentax K5IIS(ノーマル), ISO3200, 90s x 16=24分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/08/19, +22.0℃, 東御市・観測所 ↑N
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いつも素晴らしい観測結果、ありがとうございます。電離星の可能性、ワクワクですね。普通はO原子など可視光領域で観測されていますが、水素でも近赤外領域に発光があるようです。星間塵をすかしたりできるので、現在近赤外スペクトルを撮りたいと思っているのですが、この領域での観測は意味がありますでしょうか。よろしくお願いします。
こんにちは、ichimarronさん。いつもご来訪ありがとうございます。ichimarronさんの近赤外の分光!見ました。改造市販カメラで撮れることにまずは驚きましたよ、目のつけどころがすごいです。私の分光器は、彗星と散光星雲の可視光領域の低分散分光が目的(でした)なので近赤外での観測についてはさっぱり知識を持っておりません、すいません。ご存じかとは思いますが、フランス Christian Buil氏のサイト http://astrosurf.com/buil/spectrographs.htm に良いヒントがあるかもしれません。グレーティングを使うと可視の赤より長い波長はピンボケになるので分解能を上げるにはグリズム化する必要もあるかもしれません。ichimarronさんの近赤外画像ページを見ていて興味を持ったのは、近赤外画像で撮影することでHII領域に見られる初期型恒星からなる赤外線星団を画像として捕らえられるかもしれない、塵に隠れたHH天体を見つけられるかもしれない、と思いました。その辺面白いテーマになるかも、ちょっといろいろ探ってみます。今後ともよろしくお願いします。