M 74(NGC 628・銀河・うお座)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s (新改造), ISO12800, 30s x 45=23m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/11/12, 21h 53m, +3.0℃, 東御市 / 観測所, 視野角: 52 ′ x 35 ′ ↑ N
M 74(NGC 628・銀河)明るさ:9.95 mag, 大きさ:10.5′ x 9.5′, 分類:SA(s)c HII , z 0.002192, 推測距離:約1,600万光年(NED), LGG 029, RA 01h36m41.747s DEC +15d47m01.18s (J2000.0), 視野角: 19 ′ x 13 ′ ↑ N
M(メシエ)74は、うお座にある大きく(約10分角)明るい(10.0等)渦状星雲です。地球からの距離は、約3,000万光年(その距離推定に従うと)直径9万5千光年、1,000億個の恒星が存在します。対称性の高い美しい渦巻腕は、近隣の銀河との相互作用によりガス状の円盤に密度波が押し寄せているためです。
M 74は、うお座にある5〜7個の銀河から形成されるM74グループ(LGG 029)の中心銀河です。この銀河グループには特異なSm銀河UGC891、いくつかの不規則銀河UGC1176、UGC1195、UGCA20、そして特異でユニークな極環状渦巻き銀河NGC660が含まれています。(参照 Messier Objects https://www.messier-objects.com/messier-74-phantom-galaxy/ )
この銀河までの距離は、NEDによると赤方偏移を使わない距離推定は最小1.43Mpc(約470万光年)〜最大10.20Mpc(約3,300万光年)とされています。銀河グループはSIMBADでは表記がありません。M74グループ(NGC 628 Group)は存在しますが、M74はそのグループからは外されていて名前だけが残っているというややこしい状況のようです。この銀河までの距離は誤差が大きく不確定なので、距離から導かれる実際の大きさや、グループは推測の域を出ないのでしょう。
McQUINN K.B.W., SKILLMAN E.D., DOLPHIN A.E.et. al (2017 AJ)によれば、彼らの赤色巨星枝の先端法(TRGB法)を使用した観測からその距離は9.77±0.17±0.32Mpcである、としています。M 74では過去に3つのII型超新星が出現しこれらの超新星を使った距離(SN II法)は、大々的に研究され距離の指標とされるが個々の研究で異なるモデルを使用しているために複数の異なった距離が導かれている。最もよく知られるタリーフィッシャー関係(TF法) は観測する手法によって大きな幅がある。惑星状星雲の輝度関係法(PNLF法)は、その関係が銀河によって異なることがあり、校正の系統性では説明できない不正確さがある。青色超巨星または青色と赤色の超巨星の光度を用いて距離を決定するBS法では、青色超巨星と赤色超巨星のどちらかを精密な距離指標として使用する方法に疑問がある。としています。
上記研究の要約より、「銀河までの正確な距離は、さまざまな観測結果を解釈するための基本です。驚くべきことに、我々の天の川銀河に近い領域で最もよく研究されている渦巻き銀河の多くは、現代の観測技術を持ってしても達成できない距離の不確かさを持っています。」
自然科学の真理とは仮のもだと心得よ。
うお座、M74付近 ファインディングチャート
Pentax PDA50-135mmf2.8(60mm f4.5), Pentax K5IIS(ノーマル), フィルター無し, ISO3200, 90s x 16=24分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/11/12, +3.0℃, 東御市・観測所 ↑N
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