NGC 5102(Galaxy・Centaurus)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s (modification), ISO12800, 30s x 16=8m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/02/21, 02h 39m, -4.0℃, Tomi City / Observatory, Viewing angle: 52 ′ x 35 ′ ↑ N
NGC 5102(銀河)光度:10.4 mag, 直径:8.7′ x 2.8′, 分類:SA0- HII, z 0.001561, RA 13h21m57.607s DEC -36d37m48.88s (J2000.0)
視野角: 12′ x 8′ ↑N
NGC 5102 は、ケンタウルス座にある渦状・レンズ状銀河で、ケンタウルス座ι星(2.7等星)のすぐ東側にあります。ケンタウルス座A / M83グループの銀河とされていますが、この銀河群の分類には異論が多々あります。その見かけの位置から判断するとM83に近いグループの銀河なのでしょう。追記:The Local Group and other neighboring galaxy groups. KARACHENTSEV I.D. 2005 AJ によると、ケンタウルス座AグループとM83グループまでの地球からの距離はおよそ1Mpc ほどの違いがあり、NGC 5102は、ケンタウルス座Aグループに含まれる、とされています。
この銀河までの赤方偏移値からの距離は3,300万光年となりますが、比較的近い距離にあるためその他の手法での測定が可能でそれらを含めた平均距離は1,200万光年とされています(今のところは)。
この銀河は、古典的分類ではSA0の渦状構造を持つレンズ状銀河ですが、スターバーストを比較的最近に経験した銀河であり、スターバーストの痕跡と銀河の形成について様々な研究と論議がされています。
その中心部(バルジ内)では若い青い星がハッブル宇宙望遠鏡によって観測されましたが、これらは5〜8億年前に始まり1,500万年前に終了したスターバーストの最後の世代の星です。(DEHARVENG J. 1997A&A)
過去の10億年以内に形成された星は、全恒星円盤質量の約20%を構成し、NGC5102のディスクの中での星形成率は少なくとも1.4M太陽質量/年であったことからスターバーストはバルジとディスクの全体でほぼ同時に発生し、数億年前に終了した。(DAVIDGE TJ . 2008AJ)
スターバーストはディスクでは終了しているがバルジではまだ進行中であり、過去2億年の間にバルジの質量は約2%増加しています。 バルジの星形成は、水素の質量が約2×10の9乗M 太陽質量の豊富なガスを持つシ ステムの降着によって促進されたようです。最近形成された大量の星とバルジの青い色は、現在終息しつつあるスターバーストがNGC5102のバルジの構築に大きく貢献した可能性があることを示唆しています。 (BEAULIEU SF. 2010AJ )
バルジとディスクの星形成履歴からは、この銀河の形成は(小銀河などとの併合による)潮汐相互作用の結果として形成された一時的な構造の崩壊からではなく、長期間の棒構造の崩壊から形成されたバルジと一致しています。したがって、NGC 5102の前駆体は、棒構造の座屈によってレンズ状銀河に変形した円盤銀河であったことが示唆されます。(DAVIDGE TJ. 2015APJ)
レンズ状銀河の形成は、棒構造の壊滅によるとするもの、小銀河の併合によるとするものなどがありますが、近い距離にある大きなレンズ状銀河NGC 5102はそれらの理論を証明する研究対象として重要な銀河なのでしょう。
日本からは南に低いケンタウルス座は、なかなか条件良くお目にかかることができません。この日は地平線近くまで見える好条件でしたが、ついついω星団にばかり気がいってしまいNGC 5102は視野外でした。従ってファインディングチャートには、手書きでその位置を入れて誤魔化します(^_^;)。これも次シーズンのお題としておきましょう。
ケンタウルス座・西部 ファインディングチャート
Pentax PDA50-135mmf2.8(70mm f3.5), Pentax K5IIS(ノーマル), ISO3200, 90s x 8=12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/02/21, -4.0℃, 東御市・観測所 ↑N