M 98 (NGC 4192), NGC 4186(銀河・かみのけ座)

M 98 (NGC 4192), NGC 4186
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s(新改造), ISO12800, 30s x 23=12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, 22h02m, -3℃, 東御市・観測所
視野角: 52′ x 35′  ↑N

M 98 (NGC 4192), 光度 10.95mag, 大きさ 9.8′ x 2.8′, 分類 SAB(s)ab;HII; SyLINER, z -0.000474, RA 12h 13m 48.285s   DEC +14d 54m 01.20s (J2000.0)
視野角:約19′ x 13’ ↑N

M98はおとめ座銀河団に所属する中間渦巻銀河(棒渦状銀河と渦状銀河の中間的な存在)で、おとめ座銀河団中心からは少し外れたかみのけ座にあります。光度は約11等級でメシエ天体の中では暗く低い表面輝度であるために望遠鏡での眼視観測はなかなか難しい対象です。全体にぼんやりした印象のこの銀河は、地球から見た傾斜角が74度と大きいために自身の大量に保有する暗いダストによって明るい部分が覆い隠されて暗く見えています。もし正面から見たならM106のような姿に見えるのでしょう。

この銀河は青方偏移を示す銀河で約140Km/sの速度で天の川銀河に近づいています。これは、この銀河が密集したおとめ座銀河団の中で大きな固有運動を獲得して高速で移動している結果です。高速で移動しているため現在は約130万光年離れているM99(NGC 4254)と約7億5000万年前に接触した可能性が示唆されています。(Duc, Pierre-Alain;他2008/02, The Astrophysical Journal)

水素21cmの電波観測により、M98の西側にほとんど星を含まず高速に運動し太陽質量の1億倍の中性水素を持つVIRGOHI21が2005年に検出されました。これは理論的に存在が予測されていた大量の暗黒物質を含む暗黒銀河の最初の発見として報告されました。(PPARC 2007-03-10)

しかし、VIRGOHI21はM99とM98の近接接触時にM99から放出されたものであり、M99の大きな尾に埋め込まれていること、高速衝突モデルからも再現できることなどが示されました。一方で、高速の相互作用では大きな尾を生み出さないこと、相互作用であれば星も含めて放出されるはずであることなども示され、VIRGOHI21の素性は現在論議の真っ最中にあります。

NGC 4186, 光度 14.3g mag, 大きさ 1.0′ x 0.8′, 分類 SA(s)ab, z 0.026292, RA 12h 14m 06.526s   DEC +14d 43m 32.92s (J2000.0)
視野角:約8′ x 5’ ↑N

赤方偏移の値と形状から、おとめ座銀河団には属さない遠方にある銀河のようです。

M 98 周辺
タカハシFSQ85ED(320mm f3.8), Pentax K-70(改造)、HEUIB-II, ISO3200, 90s x 8 = 12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, 22h02m,  -3℃, 東御市・観測所
視野角:4.2° x 2.8° ↑N(広角カメラ)

番号のない銀河マークはIC天体ですが、いずれも暗く淡いものばかりです。M98の周囲はおとめ座銀河団の端にあたるせいか銀河の密集度は意外なくらい低い領域です。

かみのけ座、おとめ座、おとめ座銀河団中心付近  ファインディングチャート
Tamron SP 70-200mm(85mm f4), Pentax K5IIS(ノーマル), ISO3200, 90s x 8=12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, -3℃, 東御市・観測所 ↑N

12等以上の銀河をマークしています。番号が記入されている銀河は、小口径の望遠鏡で撮像してもその姿形を楽しめる対象です。四角く枠で囲った部分が「M98周辺」画像の視野枠です。

俯瞰してみると、マルカリアン銀河鎖以外にも明るい銀河の環構造はいくつもあるように見えます。(固有運動まではわかりませんが)

<以下過去の投稿>

M 98(NGC 4192・かみのけ座・銀河)

投稿日:2015/03/31
M98-1503NGC4192(M98・かみのけ座) 10.1mag 10.0′  x 3.0′ Sb
Sony α7s(新改造)APS-Cクロップ  ISO16000 15秒 x 16枚加算平均 BKP300 1500mm f5 MPCC-MK3 160JP  2015/03/21

かみのけ座にあって周囲にはたくさんの有名銀河があるせいかあまり注目されません。メシエナンバーはついていますが暗く淡いので望遠鏡で見るにも大口径が必要です。

M98-1503center*クリック拡大

 

 

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