M91(NGC 4548)(銀河), 光度:10.2mag, 直径:5.2′ x 4.2′, 分類:Sb, z 0.001644
NGC 4571(銀河), 光度:11.3mag, 直径:3.6′ x 3.2′, 分類:Sc(dSc), z 0.001137
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s(新改造), ISO12800, 30s x 16=8分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2018/03/17, -6℃, 東御市・観測所
視野角: 52′ x 35′ ↑N
M91は1781年にメシエによって発見されましたが、彼の指定した位置には天体は存在しませんでした。そのためメシエは何かしらの他の天体を観測したのだとされ、M91は失われたM天体とされてきましたが、1969年にアマチュア天文家C・ウイリアムズがメシエの計算ミスでNGC 4548がM91であることを明らかにしました。
この銀河は、1997年にセファイド変光星を使って5200+/-600万光年と比較的精度良く決められており、おとめ座銀河団に所属することが確定しています。
M91には、ライナータイプの活動銀河核があることがわかっていますが、その外観からも予想できるように星形成は低調でガスをあまり持たない渦状銀河(不活性レンズ状銀河と渦状銀河の中間的存在)、「貧血銀河」に分類されています。
2世紀近く行方不明だったり、あまりありがたくない名前の「貧血銀河」に分類されたりと、不幸な星の下に生まれた銀河かもしれません。
この星雲を発見したウイリアム・ハーシェルはこれがM91だろうとしていて、彼の息子ジョンのカタログにはM91として掲載されていました。1969年に明らかにされるまで2世紀近くこの銀河がM91でした。
赤方偏移の値からは距離3100万光年となりますが、おとめ座銀河団に所属する銀河の固有運動は非常に速いため赤方偏移の値があてにならず距離測定はなかなか難しいようです。この銀河の距離は地上からのセファイド変光星の観測で5800+/-1100万光年と推定されています。
外観は後期型の渦状銀河なのに星形成は不活発でガスも欠乏していることが判っていて、それは他の銀河と遭遇した際にガスを奪われた可能性が考えられています。
M91という称号も星を作るガスも奪われた銀河ということになり、こちらの方が不幸な銀河ですね。
<2019年10月9日、以下ファインディングチャート追記>
M 88と周辺の主な銀河
タカハシFSQ85ED(320mm f3.8), Pentax K-70(改造)、HEUIB-II, ISO3200, 90s x 8 = 12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, 23h18m, -3℃, 東御市・観測所
視野角:4.2° x 2.8° ↑N(広角カメラ)
視野内のNGC天体すべてと明るいIC天体をマークしてあります。
かみのけ座、おとめ座、おとめ座銀河団中心付近 ファインディングチャート
Tamron SP 70-200mm(85mm f4), Pentax K5IIS(ノーマル), ISO3200, 90s x 8=12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/04/03, -3℃, 東御市・観測所, 16° x 11°↑N
12等以上の銀河をマークしています。番号が記入されている銀河は、小口径の望遠鏡で撮像してもその姿形を楽しめる対象です。四角く枠で囲った部分が「広角カメラ」画像の視野枠です。