NGC2903・α7sで天体写真

NGC2903NGC2903 系外星雲(しし座)Sony α7s  ISO32000 10秒 x 16加算平均 BKP300 1500mm f5 160JP

超高感度動画性能のすばらしいSony α7s、静止画の天体写真撮影はどうだろう? ISO32000、10秒露出で系外銀河を撮影してみた。結果NGC2903の淡い銀河の腕も撮影できた。10秒露出なのでガイドの必要はない、赤道儀の追尾にまかせきり20枚撮っても4分以内で完了するので撮影効率はすこぶるいい。ISO32000の長時間露出のノイズレベルは感覚的にPentax K5IIsのISO6400と同等ぐらいかもう少しいい。色はあんまり出ない、Hαの感度は低い(EOSよりはよさそうだが)かもしれない。最適な使い方はもう少し使いこんでみないと何ともいえないが、せっかくの超高感度を利用しない手はないだろうと思う。

*2015年4月23日 追記
その後IRフィルターの改造(スターショップ新改造)をしてもらいました。その結果、銀河も赤いHα領域や星団雲の青などの色の分離が良くなり改造前と比べるととても華やかになりました。

NGC2903-1504NGC2903(しし座・銀河) 9.0mag 12’ SBbc
Sony α7s(新改造)フルサイズ60%トリミング  ISO32000 30秒 x 8枚加算平均 BKP300+2Xテレコン, 3000mm, f10, HEUIB-II フィルター 160JP  2015/04/18

もちろん赤い星雲も、フルサイズできれいに撮れます。

M8-1504NGC6523(干潟星雲・M8・いて座) 6.0mag 60′ x 35’ 3900光年
Sony α7s(新改造)フルサイズ  ISO16000 15秒 x 8枚加算平均 BKP300 1500mm f5 MPCC-MK3 160JP  2015/04/19

*2016年03 月21日 追記 α7sの適正露出について

NGC2903-1602-APSCNGC2903
BKP300 1500mm f5, MPCC-MK3, HEUIB-II,  Sony α7s(新改造)APS-Cクリップ
ISO12800, 30s x 20, TS-160JP, TemmaPC, α-SGRIII,  2016/02/08
RStack(ダーク処理)Lightroom 6.0(現像)SI6.5(フラット処理、コンポジット、デジタル現像)Photoshop CS3(色調調整)

系外星雲の撮影条件「ISO12800、露出30秒、10から20コマをコンポジット」ぐらいが、私の望遠鏡と環境でSony a7sで撮影するには効率が良いようです。30秒以上の露出(B)にすると12ビットになってしまうので30秒で適正露出になるISO感度に設定する、ということです。


IC2177-1601-K15C10IC2177
BKP300 1500mm f5, MPCC-MK3, HEUIB-II,  Sony α7s(新改造)フルサイズ
ISO12800, 30s x 20, TS-160JP, TemmaPC, α-SGRIII,  2016/02/08
RStack(ダーク処理)Lightroom 6.0(現像)SI6.5(フラット処理、コンポジット、デジタル現像)Photoshop CS3(色調調整)

散光星雲も同様にISO12800, 30秒露出で撮影しています。撮影対象の明るさに応じて撮像コマ数を変えてやれば良いでしょう。ダークとフラットを引くのは当然ですが、現像ソフトのノイズ処理で淡い部分の描写がだいぶ変わります。a7sで綺麗な鑑賞写真を撮りたい人はその辺も工夫してみて下さい。

*2019年7月 追記 カラーバランスと画像処理

改造カメラのカラーバランス
改造カメラなのでカラーバランスは赤よりに崩れます。HEUIB-IIフィルターの使用で補正はされますが銀河などでは不自然さ(?)が残ります。最終的にはPhotoshopのトーンカーブでRGBの傾きを調整してそれぞれの全体のヒストグラムのピークを揃えます。次にRGBの明部部分のみに注目して、明部部分のみのトーンカーブの傾きをS字もしくはOカーブにして各色の彩度をあげつつ色のバランスを揃えます。天体写真に正しい色など存在しませんが、銀河の腕は青、HII領域は赤、ダストの帯は茶色、核近傍は黄色、というそれらしい色に揃えて完成です。

低照度部の画像処理
2019年ぐらいからNikフィルターコレクションを使用しています。低照度部もしくはハイライト部の階調をそれぞれ個別に強調する、彩度を上げる、コントラスト調整などができるため天体写真では特に暗部の階調が大幅に向上します。

NGC 2903(銀河・しし座)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s(新改造), ISO12800, 30s x 45=22分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2019/01/10, 01h29m,  -10℃, 東御市・観測所
視野角: 52′ x 35′  ↑N

NGC 2903, 光度 9.7mag, 大きさ 12.6′ x 6.0′, 分類 SAB(rs)bc I-II HII, z 0.001834
視野角:約19′ x 13’ ↑N

*2021年7月追記

カラーバランスの調整など・現在の処理方法
1,バックグランドの黒部分・暗部がRGB各色で同じくらいの値になるように、トーンカーブで調整します。
2,次に銀河の淡い腕の部分などの低照度部に注目して、暗部の黒部分は固定したままRの強度を少し落とし赤かぶりを低減、BGを上げて銀河の腕や星団雲の青が出るようにします。
3,高輝度部に注目して、HII領域の赤が出るようにRをトーンカーブで強調、ダストの帯を含む中間調は茶色〜黄色になるようにGBを調整します。
4,お好みに応じて、全体のカラーバランスをやや青より(B強調)にして暗部は青空が暗くなったように仕上げます。
これで、HII領域の赤を強調しつつ、銀河の腕や若い星団雲は青から白になります。(これはそれらしい色に揃えましたということで正しい色です、とは言えません。特に銀河系内の星間塵の影響を強く受ける領域にある銀河・M81などは星間塵による青い光の選択吸収のために本来は全体に黄色〜赤色に傾いているはずです。)

NGC 2903(銀河・しし座)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s(新改造), ISO12800, 30s x 45=22分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/03/20, 21h 12m, +0.0℃, 東御市・観測所, 2019/01/10撮像データと加算合成、合計露出時間 44分, 視野角:52′ x 35′ ↑N

NGC 2903(銀河)光度 9.7mag, 大きさ 12.6′ x 6.0′, 分類 SAB(rs)bc I-II HII, z 0.001834, RA 09h32m10.11s DEC +21d30m03.0s  (J2000.0)

M 101 (NGC 5457・Galaxy・Ursa Major)
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s (modification), ISO12800, 30s x 120=68m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/02/24+03/21+04/25, Tomi City / Observatory, Viewing angle: 52 ′ x 35 ′ ↑ N

長焦点での銀河の撮影で最も画質に影響するのは、大気の揺らぎです。その影響を低減する方法は、高感度短時間露出の適正露出で多数コマを撮影することです。Sony α7Sはそれらの方法に最適な機材だと思います。
大気の揺らぎの影響に関しては、M 51(NGC 5194・銀河・りょうけん座)長焦点撮影とシンチレーションの影響をご覧下さい。

 

コメントを残す

コメントを投稿するには、以下のいずれかでログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中