明るい流星が流れるときや雷が光った時に同時に音を聞いたという経験談は良く聞く。しかし流星が流れるときに音波を発生しているとしても地上に到達するには数分かかってしまう。そのためこの現象は長らく心理的な現象とされてきた。その後、電磁波音(エレクトロ・フォニックサウンド)としてこの現象は論議され、流星から低い周波数(可聴音波と同じくらい)の電波の放出が確認された。しかしこの低い周波数の電波がなぜ音として認識されるのか、流星から電磁波が発生される仕組みや条件がいまだに十分にはわかっていない。個人的な経験では、遙か昔10代の頃にオリオン座流星群の経路観測を秋田大学天文部のK君と2人でやっていたときに「シュー」という音を二人とも認識したことがあるが、それっきりその後流星観測で音を認識したことはない。 COLIN PRICE AND MOSHE BLUM の論文 ELF/VLF RADIATION PRODUCED BY THE 1999 LEONID METEORS (2000年)によれば、しし座流星群の流星は1KHzあたりにピークがある20KHz以下の周波数の電磁波を放出していることが観測され、肉眼的には見えない(6等以下)流星でもこの電波を出しているだろうことがわかった。Macによる流星(火球)キャプチャーが安定してきたので、次は流星の出しているだろう超長波(VLF)、極超長波(ELF)を観測できないかと考えあれこれと暗躍してみると、すでに先駆者がおられ観測に成功されていた。しかしこの帯域の非常に弱い電波の観測は困難を極めるようで(だいいち受信機がほとんど存在しない)観測できる確率は非常に低いようだ。VLF,ELF帯での観測はポチ、ポチ進めるとして、かつて流星会議だったかで流星の音をマイクロフォンとテープレコーダーで捕らえたという発表があったことを思い出す。私は流星観測屋さんではないのだが、2001年のしし座流星群はIIとDVカメラを組み合わせて記録していた。DVカメラはIIの蛍光面を録画しながら内蔵マイクロフォンで音も同時に記録している。データは上手いことに流星が出現した部分だけをクリップとして切り取りパソコンに取り込んで保存してあった。そこで古いデータをパソコンの中から取りだして音に注目して確認してみた。で、その結果は、意外なことに流星出現時の歓声や風切り音で判別できない物以外ほとんどの流星で流星音?らしき物を記録しているようだ。
流星音のサンプル・2001年11月18/19 しし座流星群
代表的な物をここに音付きの動画として上げておく、フォーマットはmp4、流星音は小さいのでボリュームは大きめでヘッドフォン等で聴くとわかりやすい。
火球が爆発するタイミングで、「ポン」という音を記録している。
2つの流星が画面右上に出現した時に「シュー」「シュッ」という音を記録している。
火球が流れると同時に「ヒュー」という音(小さい)を記録している。
*Dropbox仕様変更で、リンク切れのため動画をyoutubeに移動。2018/07
記録された音は、流星音を聞いたことのある人達が語る典型的な流星音とそっくりだと思うのだが?さて、これは流星の音を記録しているのだろうか?秘密はDVカメラに内蔵されたダイナミックマイクにありそうだ。ダイナミックマイクは磁石と振動するコイルで構成されている、これはバーアンテナとまったく同じ構造なのだ。ここに(電磁波が通過することで)磁界の変動が発生するとコイルに電流が発生するはずだ。音と同じ周波数を持つ流星起源の低周波の電磁波はこの仕組みで音として記録されたのではないかと推測している。それでは、なぜ直接流星電磁波を捕らえるのが難しいのか?それは観測周波数とアンテナ(ループアンテナ)に原因があるように思う。うーん、せっかく作ったループアンテナは破棄かも知れないなあ〜。
マイクで記録ができる理由はなんとなくわかったが、人が音として直接認識できる理由はわからない、また、しし座群流星以外の流星でも高確率で観測できるのだろうか?電磁波の発生はどうも流星の速度に依存しているようなので低速流星では発生しないかもしれない。まあ、どっちにしても観測を続けてみるしかないなあ〜
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☆流星の音・電磁波音に関する考察とサンプル音
☆超長波(VLF)とループアンテナ
☆雷の発する超長波(VLF)・極超長波(ELF)
☆ペルセウス座流星群2011・超長波(ELF,VLF)での観測
明けましておめでとうございます
ASI120MMを販売している星見屋の南口です。
ASI120MM とUFOCaptureの組み合わせで流星撮影をされている事例を探していたらこちらのブログにたどり着きました
アップされている資料の中から、弊社からお買い上げいただいたことが分かり、大変嬉しく思うとともに、全然お客様のことを知らなかったことを反省しております。
幾つか記事を拝見させていただきましたが、その記事の中で流星の音を記録するというのは非常に興味深いことだと思いコメントさせていただいています
アップロードされていたMP4がなぜだか”Service Unavailable “になってしまって直接見ることができないのですが、もしこの考察が正しければ流星キャプチャーのロジックがうんとシンプルになり誤検知も減るかもしれませんね
マイクの仕様とか使い方については全く門外漢なのですが、少し調べてみたいと思います。よろしければ基本的な用語や具体的な事例について教えていただければ有難いです。
また、この記事はショップの店長ブログで紹介させていただいてよろしいでしょうか?
ごめんなさい
Orio様のブログでしたね
dustyCometさんのブログにコメントしたつもりでしたが、移動していたのに気が付きませんでした
新年早々お恥ずかしい限りです
HandyAVIでの流星撮影はいかがでしょうか?
星見屋としてはこれまでUFOCaptureではなくHandyAVIを推奨してきましたが、UFOCaptureHD2の最新版では使えるというコメント書き込みがあり、少し調査していたところです
最新のSonotacoさんからの書き込みですと動くことは動くが流星観測用途にはお勧めしない、という事が明記されていますので、星見屋としての取扱いは難しいところです。
いずれにせよ、”流れ星の音”というのは広く一般の興味を引く素材としては充分な可能性があるように感じます。もう少し教えていただければと思います
よろしくお願いいたします。
南口 様 あけましておめでとうございます。
dustyCometさんのところでは、ASI120MM+UFO HD2で流星のスペクトル観測をやっていて、どんどん成果が出てますよ。私のところでもUFO HD2を導入して動作は確認できています。ただ、すいませんSony α7sを導入したのでASI120MMでの構築が遅れてます。ASI120は、火球監視に使う予定です。流星サンプル動画のリンク切れはApple .macサービスの打ち切りで大量にリンク切れが発生し、直しきれていないものですいません直しておきます。流星起源の音(音波)の方はα7sで観測をはじめてます、成果が出るかどうか?