「東京電力は尾瀬の自然保護活動を積極的に推進しています。」耳障りの良い、いかにもECOな企業イメージを彷彿とさせるCM、だまされてはいけない、このCMはきわめて身勝手だ。なぜ東京電力は尾瀬に広大な土地を持っているんだ?尾瀬には1950〜60年代に電力用のダムを作る計画があった。この計画を積極的に推進していた東京電力は尾瀬の土地を買収したが、その後ダム計画は中止となり土地だけが残ってしまった。つまり東京電力は尾瀬の自然を破壊しようとした最大の当事者なのだ。そんな事情にはだんまりを決めて、いかにもこの地の自然保護活動に積極的なのだというポーズを取る姿は、事情を知るものには釈然としないしその姿勢に疑問を禁じ得ない。同じ群馬県に野反湖というやはり東京電力のダムがあり、この周辺は日光キスゲの群落で有名だが、湖底に沈んだ場所には尾瀬沼に匹敵する湿原があったことを知る人は少ない。この湿原はダム湖によって完全に消えてしまった。ECO、ECOとうるさくはやしたてる企業には、そうしなければならない理由があるようだ。